わかった

自分の右斜め前に自分を置いておく。落ちている時の自分を置く。薄暗い部屋で体育すわりをしながら軽く前後に揺れている自分を置く。わたしからはその自分の後姿が見える。そいつを常に左斜め後ろから見えるように置いておき、うわーってなったりなんでもないのに涙が出そうになったり、とにかく落ちそうになったら右斜め前にいる体育すわりのそいつに任せる事にする。「あとは頼む」そう言って。そうしたらだいぶん楽に生きて行けるのではないかと思った。例えば車を運転していて並木道を走っている時、若葉が生い茂っているのを見るだけでぶわーっと涙が出そうになる。朝、目覚めたときにものすごく落ち込む。何かの拍子に思い出したくないことを思い出してしまって絶望する。ある歌を聴くとまた考え始めてしまう。先のことを考えると不安に押し潰されそうになる。バラエティ番組をなんとなく観ているだけなのにイライラして、びゃーっと泣き出しそうになる。そんな時には斜め前にいるあいつに任せるのが得策だ。