わたしは言う

鍵をあけてもハンドルを握ってもドアを閉めても
キーボードを打っても煙草を吸ってもお気に入りのボールペンを握っていても
仕事が忙しくてもテレビを観ていても携帯をいじっていても
悲しい気持ちになって泣いていても楽しくて笑っていても
好きな歌を聴いていてもマニキュアを塗っていても本を読んでいても
朝食を食べていてもお弁当をたべていても1人で作った夕飯を食べていても
友達と話をしていてもお酒を飲んでいても笑いあったりしていても


何をしていても、考えてしまうことはいちばん考えたくないことで
ほんのわずかな隙間から染み出てくるのはいちばん忘れたいことで
考えたくないことを考えてしまって
結局、考えたくないことばかりをかんがえてしまう
頭の中が、こころの中が、それでいっぱいになってしまう
考えるのはこころの中をいっぱいにしてしまうその事ばかり



使い果たしてしまったあの恋の力を
どうしようもなくなるほど、いやというほど見せつけられて


間違っているとしても
あの思いの強さを
後悔でもいいから心から受け止めよう



そう思えていたのに、少しだけれど1歩前に進めていたのに
あの人は、また子供のように無理なわがままを言ってわたしを困らせる
あの頃の、あの時のように困らせる、困ったわたしはかんがえる
困っているわたしを楽しんでいるんじゃないか。って


手放したときには、抱き合った頃の事がうそだったと思えるほど氷のように冷たく
行かないでと言っても振り返りもせず、立ち止まることもしないでいなくなったくせに
またあの頃のようにわがままを言ってわたしを困らせる
あの人の知らない間に少し前に進んだはずなのに、困るのと同時に驚き
驚くと同時に涙が溢れ、また考えたくないことが一つ増えた、とわたしは言う。